まつばらの民話をたずねて

私たちの暮らしや生活様式、子どもたちの遊びなど、時とともに変わってきました。その月々の生活や行事など、昔はこんなことがあったのかと、今では懐かしいと思う行事や遊びなどを紹介していきます。

11月の生活

霜月稲刈り11月のイメージ
松原の生活の特色として自慢に思うことは、子どもたちの生活の中で発達した唄が多いことです。それは伝達唄もあれば、子どもながらに嘆き唄や喜び唄と、さまざまなジャンルを変えて歌い継がれています。

 例えば、正月の唄をみたとき、『正月来たらなにうれし 金剛山(ここぜ)のような餅(あも)食べて 割木みたいな魚(とと)そえて 暖(ぬくい)こたつで寝ん寝こしょ』、これは、一般的な南河内の正月唄として発表されているものです。でも松原では、正月の初風呂の唄『沸いた沸いた風呂沸いた おかめ(風呂屋名)の初風呂いま沸いた』、『とんどの柴おくれんかぁ 甘いかかぁ内いれて 渋いかかぁ追い出して―以下略』のように、生き生きと村を走り回って大声で歌われてきました。

 松原でのその月々の生活は、年中行事としての一方向からだけでなく、一般生活者や隣人(神、狐、狸を含む)の姿を、農業をベースとした生活から生まれた行事としてみていただくと楽しいかと思います。

 さて、11月は稲刈り、かかしあげ(収穫の終わりのこと)、七五三が主な行事でしょうか。一年間で一番行事のない月です。なぜか分かりませんが、10月の十夜や報恩講を最近は11月にしているようで、11月にお寺の前で見るようになりました。これは、あきあげ、かかしあげの意味を含まれたものといわれています。この時期は農閑期になるので、素人芝居や相撲、にわか、しゃもの喧嘩などが行われていたようです。

 地元のおばあちゃんによると、昔は報恩講が始まるころになると「集まってやぁ報恩講や報恩講や」と言って村中を走ると、甘酒やほんこの餅などがもらえたそうです。また、『今夜こちらの納報恩講 参ってくださいごしょ願い ほんこのしもつき なんじゃいな 芋と大根と人参と甘酒もつるつる甘酒のかげんやが ちょっと酢いよなかげんやが 生姜もどっさりどしんこで もうかげんはようなった じさんもばさんも参ってんか 寝てる子どもはひきおこし』と、子どもたちが村中をこの唄を歌って歩き始めると、そろそろ出かけようかという合図だったそうです。

大阪府文化財愛護推進委員  加藤 孜子(あつこ)