まつばらの民話をたずねて

松原の人々の一生

今月も死についての言い伝えなどを紹介します。例によって、俗信や生活習慣からくる非科学的や非文化的な行動など諸々の部分などふくめて、聞き取りした内容の中にはこんな事があったのかと笑える部分もあり、残念ながら笑えない部分もあり、人権上不適切な事項も多々あるかと思いますが、生活習慣風土が作った民俗のなせるわざとしてご理解下さいますようお願いいたします。
 

第104回 死-14 

葬儀の準備(9)

1、通夜・夜伽(よとぎ)  

 通夜(つうや)とは一般には葬式の前夜に行われる儀礼です。例外として葬式日の日暦をひも解き(注1六曜星をみて『友引(ともびき)』に当たると、この日は葬儀を忌み嫌い、葬儀を一日延ばし、通夜を二晩行います。『友引』の日を終えてから葬儀になります

 通夜は一晩ですが、葬儀日が『友引』にかかると通夜は二晩なります。また、親族肉親が遠距離の場合、葬式前夜と葬式が終わった晩とで二晩おこなう家もありました。この時、友引にかかると三晩になります。 通夜の事を一般に言葉で言う時は『お通夜』又は『夜伽(よとぎ)』といいます。

 お通夜と夜伽は同じですが、死者へ対する気持ちが違います。お通夜へ行くはお通夜の儀礼に参加する、の感覚がありますが、夜伽へ行く時の心は、一人で冥土へ行くには淋しかろう。その気持ちで夜更けになっても帰らず、皆と雑魚寝したり、添い寝したり、思い出話をしたりしながら、線香や蝋燭を絶やさないように番をする。肉親や肉親のように接していた友や助け合って生きてきた仲間等が別れを惜しんで寄り添い、朝を迎えます。

(注1)六曜星…六輝ともいう。中国から伝わった。その日の暦からその日の吉凶を占う。
 先勝―午前吉、午後凶。
 友引―朝夕吉、正午凶、葬儀は忌(友を引くの語呂で忌)。
 先負―午前凶、午後吉。
 仏滅―最大の凶日。
 大安―万事吉。
 赤口(じゃっこう)―正午吉、朝夕凶。

通夜の様子と(夜伽に入る迄)

 通夜が始まる8時を少し前にお坊様がお経をあげに来られます。読経の声が聞こえると一人二人と集まり、お線香をあげて帰る。残っている人達にお坊様が法話をする。近所の人や知り合い、友人、仲間等が次々来て線香あげて帰る人、念仏をあげる人、御詠歌をあげて帰る人等も、9時から10時頃で一般の人はほとんど帰宅し12時になると喪主が挨拶して、夜伽をする人以外は皆帰ったようです。お坊様もお帰りになります。(時間は、きまってはいませんが、だいたいこの程度の時間だったようです。)読経はお坊様だけでなく観音講や御詠歌の会などの女性達がグル―プで唱えて下さるなどもありました。この後は夜伽になりますが、 儀礼が次へ移るのでなく、だいたい肉親だけとなり、朝まで死者を偲ぶの姿を、夜伽をする。という言い方をします。

(2)死者の扱いなどの葬儀雑談
○死と棺桶入れ

●語り手 昭和8年(?)生まれ。男性。Iさん。 平成21年9月採集

 昔の棺桶は丸い桶型だった。死者を入れる時、時間がたつと、すぐ入らなくなる。脛を曲げて入れるので、硬直すると骨を折らないと入らないので、ポキ―ン ポキ―ンって骨が折れる音があったので、親戚の者は、音の聞こえない場所へ行かせた。(上田地区の墓)

○死の硬直を治すまじない

●語り手 昭和10年生まれ。男性。MAさん。 平成21年11月9日採集

 昔は硬直すると、硬直を治すまじないがあった。誰も見る事は出来なかったが、村には、それを伝承して知っている人がいて、その人が呼ばれて、まじないをした。

○死者の扱い

●語り手 昭和10年生まれ。男性。MAさん。 平成21年11月9日採集

 昔は死者が出ると「友を引く」というて、あの世へ一人で行くのは、淋しいから嫌だといって、伽(とぎ)を探しているから引き込まれると大変なので、近寄らないようにした。

●語り手 昭和10年生まれ。男性。MAさん。 平成21年11月9日採集

死者が出ると、親戚の者が出てきて、体をあっちこっち調べたわ。せっかんして、殺したのでないかってなぁ――  昔は貧しかったから、長患いは、看病人はつらかったわなぁ

●語り手 昭和18年生まれ。女性。SAさん。 昭和59年2月採集

子供の時だけど、友達のお母さんが結核で死んだって。私は見てないけど目、耳、鼻、お、臍、肛門に綿花を詰めて、体外へ結核菌が飛ばないように、ってふさいで、それから身体を頭から足の先まで晒し布でまいたってきいたよ。

○行基墓

●語り手 昭和10年生まれ。男性。MAさん。 平成21年11月9日採集

昔は死人を焼かなかった。行基は、墓にやきばがあって、そこで焼いた。

○墓

●語り手 昭和15年生まれ(?)。Sさん。女性。 昭和56年採集

河合は行基墓でないけど、堺から合併して松原に入って、河合の墓が出来た。焼き場もあったから、夜に焼くとすごいにおいがして、骨がぽぉーん。ぽぉーん。って跳ねる音がして、きしょくは悪いし、余りいいものではなかった。

●語り手 昭和18年生まれ。男性。MYさん。 平成21年11月9日採集

昔は共同墓だったから、今のように、一坪と言うて、墓地を区切って土地を売ってなかった。勝手に埋める事が出来たので、そこに埋めた。 

                     

大阪府文化財愛護推進委員  加藤 孜子(あつこ)